BARで語れる豆知識の宝庫!港区立郷土歴史館に行ってみないか?

六本木、赤坂、青山、麻布、高輪。港区といえば財を成した一流ビジネスマンから芸能人、港区女子まで幅広い層に愛されている都内有数の人気エリア。居住者の平均年収が1,000万円を超えると言われているこの街は、端から見れば「ハイソな街」という印象が一括りにあるかもしれませんが、その歴史の奥ゆかしさたるやいとをかし

ということで今日は、BARで語れる豆知識の宝庫!港区立郷土歴史館をご紹介。ちなみにこの歴史館は2018年11月にオープンしたばかりの新しい施設。これから港区に住みたいという方から既に住んでいるという方まで。ココを訪れれば港区をもっと好きになれるはず

例えば、こんな豆知識がたくさん!

フジテレビ、アクアシティー、パレットタウン、大江戸温泉物語など全域がアミューズメントパークのような街、港区台場。そんな台場の由来は「砲台場」で、江戸時代末期の外国船来航に備え外国船から江戸の街を守るために作られた埋め立て地です。

当時台場には数々の砲台場が作られたものの、結局一度も外国船が訪れることはなかったとか。今でこそ台場は東京のシンボルの一つとして数えられるほどの街ですが、もともとは防戦を目的として作られた場所なんです。

港区立郷土歴史館とは?

港区立郷土歴史館はもともと港区立郷土資料館として三田図書館にありましたが、港区による「旧公衆衛生院」の建物取得に伴い、展示も格段に広くなって2018年11月に白金台の地に新しくオープンしました。この旧公衆衛生院とは、国民の保健衛生に関する調査研究や公衆衛生の普及活動を目的に設立された機関だそうですが、その歴史的建造物をそのまま残しつつ、港区のローカルヒストリーを伝えていこうというのがこの港区立郷土歴史館です。なお、その敷地面積は約10,000㎡と東京23区の中でもダントツの広さを誇っています。

公衆衛生院について

今から約80年前にロックフェラー財団の寄付によって建てられた公衆衛生院は、東京大学・本郷キャンパスを手掛けた建築家・内田祥三氏によるゴシック様式(中世ヨーロッパ風)の外観が特徴。内観は当時の設備や空間をそのまま残しながら現代の建築基準に則ってリノベーションされています。時には雑誌やテレビの撮影などに使われるそうですよ!

港区立郷土歴史館の館内を散策!

正面玄関を入ると現れる豪華な中央エントランス

正面玄関を入ると現れる豪華な中央エントランス。展示コーナーへ向かう前にまずは建物内を散策していきます!

旧公衆衛生院の講堂

全国の医療関係者が学んだ旧公衆衛生院の講堂は、港区立郷土歴史館に来たら必ず見ておきたいスポット。その広さと設備の重厚感も相まってノスタルジックな世界観に浸れます。

旧公衆衛生院講堂の当時の机や椅子

また当時の机や椅子がそのまま残されているため、今でも講堂として使えそうですが、周囲の設備など建築基準が満たされていないため現状のままだと使用は不可とのこと。そのため、保存状態はかなり良好です。

デザインへのこだわりを細部まで感じられる時計や照明

デザインへのこだわりを細部まで感じられる時計や照明、昔のストーブなど講堂内にはカッコ良いモノがたくさん!

デザインへのこだわりを細部まで感じられる時計や照明

館内の廊下は昔のまま。ひび割れたところもあったり。建築基準に抵触しない箇所はなるべくそのまま残し、壁や天井など当時のデザインを損なわないようにリノベーションされています。

年季の入った床

何気なく下を見て年季の入った床に趣を感じてみたり…

旧エレベーターの横の案内表記

旧エレベーターの横でレトロを見つけてみたり。【このボタンを押せば乗籠がきます。乗籠が止まってから扉を開けてお乗りください。運転中はボタンを押しても無駄です。突き放し具合が最高です。

旧院長室

歴代の院長が使用していた旧院長室。家具は新しいものだそうですが、床や壁、窓などは当時のままだそうです。

公衆衛生院で使用されていた物

ほかにも当時の公衆衛生院で使用されていた物がたくさん展示されているのでレトロ好きにはたまりません!

学芸員さんから学ぶ港区の歴史

常設展示では東京湾にまつわる歴史や江戸時代の港区の街の様子、交通・運輸・産業に関する数々の物が展示。特別展示は取材時「空から見た港区~高度成長前のまちなみ~」という写真展が開催されていました。

またガイダンスルームでは港区三万年の歴史をプロジェクションマッピングで見れたり、2階奥にあるコミュニケーションルームでは学芸員さんに説明を受けながら港区の歴史を学ぶことができます。

本物のクジラの骨格標本

こちらは本物のクジラの骨格標本。見るだけでなく触れるのがすごい

港区の土壌から発見された縄文・弥生時代の土器

港区の土壌から発見された縄文・弥生時代の土器。こちらも触れられるというから驚きです!

昭和のテープレコーダー

こちらは昭和のテープレコーダー。高級品です。

ステンドグラス

ステンドグラスもカッコ良い…コミュニケーションルームは一部を除き撮影OKなので、学芸員さんの話を聞きながら写真を撮ることもできます。

八芳園のカフェ「VEGETABLE LIFE」

散策に疲れたら地下1階にある八芳園のカフェ「VEGETABLE LIFE」へ。オーガニック野菜をふんだんに使ったランチプレートやドリンクメニューが充実していて、女性にも大人気です。

VEGETABLE LIFE カフェ内

カフェ内は木の温もりを感じられる落ち着いた空間ですが、もともとは旧公衆衛生院の食堂だった場所。床や柱はそのままになっているのでよく見ると当時の面影が残っています。

学芸員さんに聞く港区立郷土歴史館

学芸員の川上さん

取材に応じてくれた学芸員の川上さん

佐藤 港区でこんなに大きな歴史館が新規オープンしたというのは驚きですね!

川上さん そうですね、これだけ大きくて古い建物を保存しつつ、リノベーションして公開している建物は全国的にもそう多くないと思います。

佐藤 80年近く前の建物を現代の建築基準法に合わせてリノベーションするとなると、難しい部分もあったのでは?

川上さん たしかに旧所有者の想いやバックグランドを残しながらリノベーションするというのは大変でした。例えば、2階と3階には大理石張りのトイレが残っているんですが法律上だと避難路にしないといけない。なのでトイレのシミだけ残してみたりとか。ほかにもそういうところがたくさんあるので、工事中は職人さんに「うるせえやつがいるな!」と思われてたかもしれませんね笑

残したトイレのシミ

佐藤 そもそもここは公衆衛生院の跡ということですが、港区立郷土歴史館はどのようなコンセプトで作られたのでしょうか?

川上さん 港区の文化や歴史に関するモノを収集・保存・調査・展示し、そのバックグラウンドをローカルヒストリーとして多くの人に伝えていくというのがこの施設のコンセプトですね。地元の方はもちろん、他の地域にお住いの方や観光客の方に港区をより楽しんでもらえるようハブのような存在になれたらなと思います。

学芸員の川上さん

佐藤 港区立郷土歴史館を楽しむコツがあれば教えてください!

川上さん アートなど作品を楽しむのが美術館なら、歴史や人々の生活というバックグラウンドを楽しめるのが歴史館かと思います。当館では港区という街の成り立ちや、地元の方の寄贈品など、そこに暮らした人々の生活背景もふまえて当時の雰囲気を味わってもらえたらなと思います。

地元の方から寄贈品「初任給で買ったラジオ」

佐藤 展示品は地元の方から寄贈品が多いのですか?

川上さん そうですね、よく地元の方から寄贈品の申し出をいただくのですが、それが「初任給で買ったラジオ」などその方にとって思い出が詰まったものだったりするので、そういう想いも伝えられるように展示させていただいています。ちなみに現在行っている特別展示「空から見た港区~高度成長前のまちなみ~」の航空写真は、港区在住の写真家の方から提供していただいたものですね。

学芸員さんに聞いた港区の豆知識

最後は広報担当の鈴木さんも交えてお話。「BARで語れる港区の豆知識」というテーマで3つほど教えてもらいました!

広報担当の鈴木さん(左)、学芸員の川上さん(右)

広報担当の鈴木さん(左)、学芸員の川上さん(右)

豆知識(1) 港区ブランドのルーツは華族

江戸時代の港区は武家の下屋敷が点在していた場所で、江戸城から少し離れたゆとりのある郊外というイメージの地域だったとか。しかし、明治時代にこの土地にあった武家屋敷に、宮家や華族の実業家が住み始めた影響が現在のブランドイメージに結びついているのではないかとのこと。また、港区はNECや沖電気をはじめ高度経済成長を支えた様々な企業が古川沿いに多く存在しており、商業の街としても栄えていたそうです。

豆知識(2) 港区に外国人が多い理由

Yahoo!、Google、Apple、Microsoft、Oracleと世界の名だたる外資系企業が集まっている港区、外国人の多さは幕末から。その背景として挙げられるのが、区内に80か所以上存在する諸外国の大使館。港区にはお寺が多く、幕末にこれらが外国公使館として使われていたことに由来しているそうです。また新橋は鉄道発祥の地。外国から来た人々が、横浜から鉄道に乗って、港区周辺を行き来するようになったと考えられています。

豆知識(3) 港区の大規模な敷地は軍事施設の跡地

例えば、赤坂にある東京ミッドタウンや国立新美術館、都営青山アパートは元々軍事施設だった場所とのこと。そもそも港区内の大規模な敷地はもともと軍事施設だった土地が多く利用されているそうです。煌びやかな街並みの背景にも、軍事施設という意外な歴史があるから面白いですね。

港区立郷土歴史館

まとめ

バロック建築による建物や設備の造形美を楽しむ、そのまま保存されている旧講堂や旧院長室を訪れて当時の雰囲気を味わう、レトロな民具やその昔ここで暮らした人たちの生活を回想するなど、大人の知識欲を存分に満たしてくれる港区立郷土歴史館。2018年11月にオープンしたばかりで、まだあまり知られていない穴場スポットなので一度訪れてみてはいかがでしょうか?きっとBARで語れる豆知識が見つかるはず!

※港区立郷土歴史館は東京メトロ南北線 白金台駅の2番出口を出てすぐ、港区立郷土歴史館等複合施設(ゆかしの杜)の1階~4階にあります。


港区立郷土歴史館
〒108-0071 東京都港区白金台4-6-2 ゆかしの杜内
公式サイト:https://www.minato-rekishi.com/

執筆 佐藤 章太 / 写真 のむら たいち

ABOUTこの記事を書いた人

佐藤 章太

佐藤 章太

1982年、東京都生まれ。コンテンツ制作やオウンドメディアの編集を主業とするマーケティング系ライター&ディレクター。ノスタルジックな場所巡りという趣味を兼ねて、トシン部では企画記事を担当。

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